「MarketHack流 世界一わかりやすい米国式投資の技法」を読んだ
じっちゃまの愛称で親しまれている広瀬隆雄さんの著書です。 御年60でありながら Twitter でめっちゃ発言してたり Note とか売ってたりしてなかなかIT感度の高いお方です。
本書は米国株を始めるにあたってのノウハウが色々書かれている本になります。タイトルには「世界一わかりやすい」とありますが、基本的な株の用語は知っている前提です。証券口座の解説方法とかそういうのは載ってないということです。 内容に関してですが、前半に関しては学びになる部分がたくさんありました。後半の2014年の投資機会に関しては時間も経っているので読み飛ばしていいと思います。
「Market Hack流投資術10カ条」として紹介されているのが以下です。
- 営業キャッシュフローのよい会社を買え
- 保有銘柄の四半期決算のチェックを怠るな
- 業績・株価の動きが荒々しい銘柄と、おとなしい銘柄を上手く使い分けろ
- 分散投資を心がけろ
- 投資スタイルをきちんと使い分けろ
- 長期投資と短期投資のルールを守れ
- マクロ経済がわかれば、投資家としての洗練度が格段に上がる
- 市場のセンチメントを軽視する奴は、儲けの効率が悪い
- 安全の糊代 (のりしろ) をもて
- 謙虚であれ (投資の勉強に終わりはない)
前半の部分だけ以下詳しく書いていきます。
営業キャッシュフローのよい会社を買え
一章目で「営業キャッシュフローのよい会社を買え」とあるのですが、いきなり超具体的な内容が書かれています。
まず ヤフーのファイナンスページ でティッカーシンボル検索して、そこの “Financials” の “Cash Flow” の項目を見て TotalCashFlowFromOperatingActivities (営業キャッシュフロー) > NetIncome (純利益)
の会社を買いなさい、と言い切っています。1
なぜこの項目かというと営業キャッシュフローは他の項目に比べて決算上ごまかしにくい数字だからです。
さらに営業キャッシュフローマージンについては15%〜35%の会社を狙えとあります。 営業キャッシュフローマージンの計算方法は以下です。
営業キャッシュフロー / 売上高 * 100 = 営業キャッシュフローマージン (%)
先程のヤフーファイナンスページで “Income Statement (損益計算書)” に “Total Revenue (売上高)” が書いてあるので計算できますね。
保有銘柄の四半期決算のチェックを怠るな
広瀬さんは決算を何より重視しています。決算の悪い銘柄は買ってはいけない手放すべきものという扱いです。
そこで決算の見るべきポイントですが EPS
と売上高
を見るべきだそうです。
これらの項目で次期決算のコンセンサス予想を上回っているものがいい決算だそうです。さらに言うと来期のコンセンサス予想がガイダンス (その会社の経理部が出す指標のこと) を上回っている必要もあるとのこと。
こちらもヤフーファイナンスから確認できます。本書の画像は古くなっているので以下 (2019年9月現在) を載せておきます。コカ・コーラ社を例に載せてます。
デイトレーダーへの道
第一章では上記に続き「分散投資に心がける」とか「短期長期のトレード手法を使い分けよう」とか割と一般的なことが書いてありました。なので割愛します。
一気に飛んで第三章の「デイトレーダーへの道 - トレードプランの立て方」で便利に使えそうな指標のリストがあったのでそれだけ引用しておきます。
【米国ISM製造業景況指数】
重要度:やや高い
発表のタイミング:毎月第1営業日。日本時間0:00AM
データ元:ISM
製造業の購買担当者に対するアンケート調査。50を超えると景気が拡大しており、それ以下だと後退していると判断します。調査項目は将来の生産計画、新規受注、在庫、雇用、納品などにわたっています。速報性の強い指標です。
【米国雇用統計】
重要度:とても高い
発表のタイミング:毎月第1金曜日。日本時間10:30PM
修正値の有無:過去の数値は修正されることが多い
データ元:労働省労働統計局
雇用統計は非農業部門雇用者数と失業率に分けられます。なかでも、非農業部門雇用者数はきわめて重要度の高い統計です。非農業部門雇用者数の数字が強ければ米国株は上昇します。
【米国GDP】
重要度:高い
発表のタイミング:通常各月の第4週の金曜日。日本時間10:30PM
修正値の有無:毎月修正される
データ元:商務省
米国経済に関する最も包括的な指標です。GDPの数字が強ければ米国株は買われます。GDPの算出に使われるデータの一部はGDPの発表より一足先に公開されることからGDPの予想は事前に見当がつけやすいです。このためサプライズが出ることは比較的稀です。
【米国消費者信頼感指数】
重要度:やや高い
発表のタイミング:各月の最後の木曜日。日本時間0:00AM
データ元:カンファレンス・ボード
消費者信頼感指数は消費動向を占ううえで重要な指標です。この数字が強ければアメリカ株は買われます。毎月、新しい調査対象者に調査票を送るため、月々のデータの変動が大きいという難点があります。また質問票は向こう半年の見通しに関してのアンケートであり、比較的短期的です。
総評
明確で分かりやすい指標で持って言い切っているので判断はしやすいですが、それで儲けられるかどうかはまた別の話しというのが株の難しいところ。
最終的には市場に参入して読み取っていく力を養っていかないといけないですね。
東洋経済新報社
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本書内の画像と内容は古いものでしたので、適当に現在2019年9月の内容で書き換えてます。 ↩︎
Author
LastMod 2019-09-30