ジェフ・ベゾス 果てなき野望-アマゾンを創った無敵の奇才経営者

Amazon はなぜこれほどまでに巨大企業に成長できたのだろう。Google と違って最新鋭のテクノロジーから始まったわけではない、Apple のように美しさを追求したデバイスを作っているのでもない。Amazon はインターネット黎明期にオンライン書店という、アイデア自体は誰でも考えられることから始まった企業だった。

ここまで成長した大きな要因はやはりジェフ・ベゾス氏の経営哲学にある。

エブリシングストアという果てしない野望を抱いて、所詮は書店のオンライン販売と考えられていたサイトが、いつのまにかカテゴリーが増え商品が増えていった。 またマーケットプレイスの導入で得た経験が AWS という後にビッグ産業となるクラウド事業の先駆けとなった。

エブリシングストアという野望にどれだけベゾスが力を入れてるのかが分かるストーリーがあった。ベビー用品を扱うようになったときの Amazon とクイッドシーの戦いだ。買収の提案が進んでいくなかでとった Amazon の価格戦略がこうだった。

パンパース一袋の値段はダイアパーズ・ドットコムの45ドルに対してアマゾンは39ドル、定期お得便なら30ドル以下となった。自分たちが知る配送料金とP&Gの卸価格からクイッドシーが試算したところによると、アマゾンは、3ヶ月で1億ドル以上の赤字を紙おむつだけでだす計算になったらしい。

関係者は、無慈悲にもライバルを崖から追い落として買収を成功させたベゾスの手腕に今回も驚くばかりだった。この戦いがよく見える位置にいたという関係者は、「勝利者をはっきりさせるためなら、ためらわずに辺り一帯を焼き払う人々なのです」と感想を漏らした。

その他にもアマゾンと出版社、アマゾンとウォルマート、などライバルとの壮絶な戦いのストーリーが描かれている。その時にもベゾスはただ一点、顧客のことを考え続けているのだ。

ベゾスという奇才の経営者を追った半自叙伝にも思える本書は、学生、起業家、投資家などいろんな人が読んでおくとよい一冊となるだろう。 またベゾスといえば、伝説のスピーチがある。本書と合わせて一度は観ておきたい。