物流関連の仕事をしているならこの本は必読、と言われて渡してもらった本がこれです。

仁義なき宅配: ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン

最近ようやく読了したので内容を少し紹介。

日本で宅配といえば、ヤマト、佐川、日本郵便のみつどもえ合戦になっており、データでみるとこの三社で宅配事業の9割の荷物が流れているということになっています。その数は年間90億個強、国民一人あたり年間90個弱という数値です。

この三社がいかにして現在の宅配事情を形成することになったのか、宅配業界はこれからどうなっていくのか、非常に読み応えある文章で分かりやすく書かれています。データだけの分析ではなく、筆者の得意?とする潜入取材という経験から描かれた内容はすごくリアルで現場の苦労がよく伝わってきます。

宅配業界の行き過ぎた過剰なサービス、それに対する不十分な教育、不釣り合いな運賃、といった不合理にはものすごく共感できます。

しかし一方でサービス受け手側に立つとその苦労が途端に見えなくなります。不在になって再配達をしても一切の運賃はかからない。Amazonやヨドバシでは送料無料をうたっておりその他ECサービスでも送料は無料でまるで当たり前のサービスだと思ってしまいがち。

でも物が届くということはそれを支える物流インフラがあってこそのもの。そこには当然ドライバーさんや仕分け作業員さんなども含まれる。筆者によるとヤマトが1400億円の資金を投じて建設したヤマトの心臓とも言える羽田クロノゲートではほとんどの人が非正規雇用、バイト、派遣社員、日雇い労働者、外国人なのだそうだ。ベルトコンベアから流れてくる荷物をひたすら詰めて投げるの繰り返し。遅れようものなら赤いランプと警告音ではやくしろと催促。

今なんとかしないと宅配業界の未来は危ないのかもしれない。