よくわかる人工知能 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ

人工知能という言葉を聞いてどんなイメージを抱くだろう。

以前『人工知能は人間を超えるか』という書籍を読んで、これからの人工知能の行末について想像した。

最近はメディアでも取り上げられるほどの注目度で、自動運転技術の例であったり、画像処理に対する認識のすごさだったり、あるいは、りんなちゃんとの対話だったりと研究段階から実用的なものまで幅広く展開されている。 特にディープラーニングを活用した AlphaGo が囲碁対決で勝ったことは、人工知能という可能性を大きく広げた出来事であったと思う。

本書は著者の清水さんが、人工知能に関わる仕事や研究をしている方たちとの対談をまとめたものだ。 トヨタ、NVIDIA、ヤフージャパンといった企業の方たちがいるのに驚いた。 人工知能技術はもはや科学者のおもちゃではなく、現実に仕事とリンクし始めている領域まで来ているのだと。

人工知能 ≒ ディープラーニングという図式を頭に思い浮かべ、それをどう活用するかという点がよく注目されるのだけれど、そもそも知能って何?といった点が気になる人も多いだろう。 そういう意味で、慶應義塾大学大学院の前野さんとの対談で語られている内容は非常に興味深かった。 『意識』というのはクオリア説のような司令塔みたいなものが生み出しているんじゃないかという茂木健一郎氏の矛盾をつき、前野氏は受動意識説を提唱している。 受動意識説とは簡単に言えば、自律分散的なシステムの結果として意思決定がなされていて、意識は能動的なものではなく受動的な後付のようなものだという考え方である。 これってつまり起きた出来事に対し、理由付けをしているだけなのだということなんだけど、すごく仏教的な思想と似ているなぁと思って驚いた。 意識が能動的なものでないならば、コンピューターに実装可能であり、それは意識をもったAIが出来るということを意味する。 結局、完全解明しようとしているところが間違えで、単なる模倣により意識は作れるのかもしれない。

人工知能の発展により今の人間の生活は大きな変化が起こるだろうと思ってる方は多いと思う。 本書を読むとその考えを大きく上回る可能性があることに驚くことだろう。